ポータブル電源は、持ち運んでコンセントに挿して使う電池です。家庭用蓄電池は、家の分電盤につなぐ据え置きの設備で、設置には配線の工事が要ります。ポータブル電源と蓄電池のいちばんの違いは、持ち運べるか、工事が要るかにあります。
容量も大きく違います。経済産業省の資料は家庭用蓄電池1台を約9.5kWh(9,500Wh)と想定していて、これは1,070Whのポータブル電源の約9倍にあたります。家全体を停電中もまかないたい方は家庭用蓄電池、冷蔵庫やルーターなど使う機器が決まっている方はポータブル電源と、どっちが向くかは目的で分かれます。
家庭の備えの全体像は内閣府の防災情報のページにまとまっています。
経産省の資料は家庭用蓄電池1台を約9.5kWhと想定。1,070Whのポータブル電源の約9倍の容量です
蓄電池を分電盤につなぐ配線工事は電気工事で、第二種以上の電気工事士でなければ作業できません
使う機器が決まっているなら工事のいらないポータブル電源、家全体をまかなうなら蓄電池が向きます
ポータブル電源と蓄電池の違い
まず押さえたいのは、持ち運べるか、工事が要るか、容量の3つの違いです。この3つで、どちらが向くかがほぼ決まります。
違いは、持ち運べるか、分電盤につなぐ工事が要るか、容量が約9倍ちがうかの3点です。ポータブル電源はコンセントに挿すだけで使え、家庭用蓄電池は家の配線につなぐ設置工事が要ります。

| 項目 | ポータブル電源 | 家庭用蓄電池 |
|---|---|---|
| 設置・つなぎ方 | コンセントに挿すだけ(工事不要) | 分電盤につなぐ配線工事が必要(電気工事士) |
| 容量 | 1,070Wh(Jackery 1000 New) | 約9,500Wh(経産省が想定する1台) |
| 停電時 | 20ミリ秒未満で自動切替(UPS対応機) | 初期停電時放電容量で確かめる |
| 費用の見方 | 価格を容量(Wh)で割って比べる | 1kWhあたり約12.1万円(2023年度・工事費込み) |
| 補助金 | 自治体の制度を個別に確かめる | 国のDR家庭用蓄電池(基準額3.45万円/kWh) |
| 寿命の見方 | 充放電サイクル回数と維持率(約4,000回で70%) | 想定使用期間で確かめる(JEMAの表示ラベル) |
表の数字は2026年10月23日時点のものです。
ポータブル電源 蓄電池 違い|持ち運べるか据え置きか
一番の違いは、持ち運べるか、家の配線につなぐ据え置きかです。ポータブル電源は箱から出してコンセントに挿すだけで使えます。
僕は Jackery 1000 New を、壁のコンセントと冷蔵庫・Wi-Fiルーターの間につないで常時使っています。家庭用蓄電池は家の分電盤に配線をつなぐ設備で、据え置きで、持ち運ぶ設備ではありません。
家庭用蓄電池 ポータブル電源|容量は約9倍の差
容量は、家庭用蓄電池のほうがポータブル電源の約9倍あります。経産省の資料は、家庭用蓄電システム1台を約9.5kWh(9,500Wh)と想定しています。
この9,500Whをポータブル電源の容量で割ると、Jackery 1000 New の1,070Whの約8.9倍、Dabbsson 2000L の2,048Whの約4.6倍、BLUETTI AORA 30 V2 の288Whの約33倍です。家全体の回路につなぐ設備と、1台で持ち運ぶ電池では、はじめから容量の桁が違います。
容量の決め方は容量(Wh)の選び方の記事にまとめています。
蓄電池の設置は電気工事士の工事
家庭用蓄電池の設置に資格は要るのでしょうか。工事の中身を、電気工事士法の条文から見ていきます。
家庭の分電盤に蓄電池をつなぐ配線工事は電気工事にあたり、第二種以上の電気工事士でなければ作業に従事できません。違反は三月以下の拘禁刑または三万円以下の罰金の対象です。

蓄電池 設置工事|無資格は罰則の対象
家庭用蓄電池は、ただ置くだけでは使えません。家の分電盤に配線をつなぐ工事が必要で、これは住宅の電気設備を設置・変更する工事にあたります。
電気工事士法は、第一種または第二種電気工事士でなければ一般用電気工作物等の電気工事の作業に従事してはならないと定めています。無資格の作業は三月以下の拘禁刑または三万円以下の罰金の対象です。工事をどこに頼むか迷っている方は、担当する会社に電気工事士がいるかを先に確かめます。
ポータブル電源を分電盤につなぐ工事
ポータブル電源にも、家庭の電気回路につなぐには工事が要る機種があります。EcoFlow DELTA Pro 3は、別売の Power Switch Kit を使うと家庭の電気回路につなげます。
EcoFlow は専門の設置業者による設置サービスを用意していて、切替分電盤につないだときは1回路で最大1,800W、2回路合わせて最大3,600Wまで同時に出力できます。接続する回路の選び方があるため、施工のときは施工会社に相談します。
メーカーは「従来の家庭用蓄電池と比較して、設置工事の手間が大幅に簡略化されている」としていますが、家の回路につなぐなら工事が要ることに変わりはありません。
コンセントに挿すだけなら工事は要らない
使う機器をつなぐだけなら、ポータブル電源は工事がいりません。僕の Jackery 1000 New は、壁のコンセントと冷蔵庫・Wi-Fiルーターの間につなぎっぱなしにしています。
停電しても自動で電池に切り替わり、復旧しても何も操作しなくてすむので、分電盤の配線に触れる場面はありません。この使い方なら電気工事士の資格は要りません。
家の一部の機器だけ動けば足りる方は、この挿すだけの備え方が向いています。
停電に強いのはどちら?
停電のときに頼れるのは、使い方で変わります。機種ごとの切替の速さと、僕の使い方から見ていきます。
使う機器が決まっているなら、UPS付きのポータブル電源をコンセントに挿しておくだけで足ります。家全体や長い停電に備えるなら、家庭用蓄電池か、拡張や分電盤接続に対応したポータブル電源が候補です。

ポータブル電源 停電|つなぎっぱなしで使う
ポータブル電源は、UPS対応機ならコンセントに挿しておくだけで、停電の瞬間に自動で電池に切り替わります。
切替の速さは機種で違います。
- Jackery 1000 New は、停電の瞬間に20ミリ秒(0.02秒)未満で電池に切り替わり、パススルーに対応します
- Dabbsson 2000L は、15ミリ秒(0.015秒)未満で電池に切り替わります
- BLUETTI AORA 30 V2 は、10ミリ秒以内で電池に切り替わります
僕は Jackery 1000 New を冷蔵庫とWi-Fiルーターにつなぎっぱなしにしていて、停電してもネットが切れません。Dabbsson 2000L は固定した場所で大型テレビや明かりに、BLUETTI AORA 30 V2 は現場と車での工具の充電に使い、いざというときの補助にしています。
UPSのしくみはポータブル電源のUPS機能の記事にまとめています。
蓄電池 停電時|初期停電時放電容量で比べる
蓄電池で停電時にどれだけ使えるかは、カタログの『初期停電時放電容量』で確かめます。日本電機工業会(JEMA)の蓄電システム性能表示ラベルには、初期実効容量や初期停電時放電容量、想定使用期間が並びます。
たとえば9,500Whを96Wで割ると約99時間ですが、これは単純な割り算の目安です。僕の Jackery 1000 New(1,070Wh)を96Wで割ると約11時間になるところ、画面の残り時間は8.5時間と割り算より短く出ています。停電時に使える量は、容量そのままではなく初期停電時放電容量で確かめます。
ポータブル電源は蓄電池の代わりになる?
ポータブル電源が蓄電池の代わりになるかは、容量と、家全体につなげるかで決まります。見る点はこの2つです。
容量だけなら、拡張に対応した機種で蓄電池に近づけます。Jackery 3600 Plus は最大21.5kWh、EcoFlow DELTA Pro 3 は最大12,288Whまで増やせて、経産省が想定する家庭用蓄電池の約9.5kWhを超えます。ただし家全体につなぐなら工事と施工会社への相談が要り、拡張できない機種もあります。

| 機種 | 容量 | 拡張 | 定格出力 | サイクル回数(維持率) | 重さ |
|---|---|---|---|---|---|
| Jackery 1000 New | 1,070Wh | ― | 1,500W | 約4,000回で70% | 約10.8kg |
| Dabbsson 2000L | 2,048Wh | 不可 | 2,200W | 約4,000回で80% | 約18.6kg |
| Jackery 3600 Plus | 3,584Wh | 最大5台で21.5kWh | 3,000W | 約6,000回で70% | 記載なし |
| EcoFlow DELTA Pro 3 | 4,096Wh | 最大12,288Wh | 3,600W | 約4,000回で80% | 約51.5kg |
ポータブル電源 蓄電池代わり|拡張できる機種
蓄電池の代わりを狙えるのは、拡張バッテリーに対応した機種です。Jackery 3600 Plusは、最大5台の拡張バッテリーで合計21.5kWhまで増やせ、別売のコネクターで2台を並列にすると最大4,000Wの定格出力で200V家電に対応します。保証は5年です。
EcoFlow DELTA Pro 3は、4,096Whずつ最大12,288Whまで拡張でき、100V/200V出力に対応します。この拡張は工事不要で、本体と専用エクストラバッテリーをケーブルでつなぐだけです。保証は最長5年です。
ポータブル電源 蓄電池 代用|拡張できない機種
一方で、拡張できない機種もあります。僕の Dabbsson 2000L は、公式の仕様表で並列接続も容量拡張もできません。約18.6kgと重いので、固定した場所での使い方になります。
Jackery 1000 New の商品ページには拡張の説明がありません。あとから容量を足したい方は、買う前に仕様表で拡張に対応しているかを確かめます。
蓄電池の費用と国の補助金
家庭用蓄電池の費用と、国の補助金を見ていきます。金額は官公庁の資料と公募要領の数字だけを使います。
家庭用蓄電システムは、2023年度の補助事業データで1kWhあたり約12.1万円(工事費1.0万円を含む)でした。経産省が想定する9.5kWhなら約115万円の試算で、今の見積もりの金額ではありません。国の補助は基準額3.45万円/kWh・補助率3/10以内・上限60万円で、DR(ディマンドリスポンス)の契約が条件です。

蓄電池 値段|1kWhあたりで比べる
蓄電池の値段は、1kWhあたりで比べると見通しがつきます。家庭用蓄電システムの導入費用は、2019年度の18.7万円/kWhから2022年度13.9万円/kWh、2023年度12.1万円/kWhと下がってきました。2030年の目標は7万円/kWhです。
これは補助事業などのデータをもとにした分析で、事業者によって工事費に含む範囲が違います。ポータブル電源は、商品ページの価格を容量(Wh)で割ると、蓄電池と同じ物差しで1kWhあたりの値段を比べられます。
蓄電池 補助金|国の家庭用蓄電システム導入支援事業
国の補助はDRに対応する家庭用蓄電システムが対象で、環境共創イニシアチブ(SII)の令和7年度補正「DR家庭用蓄電池」の条件は次のとおりです。
- 補助金の基準額は1台あたり3.45万円/kWh(初期実効容量)、補助率は3/10以内、上限は1申請あたり60万円
- SIIに登録された家庭用蓄電システムであること
- DRに対応し、DR契約を少なくとも2028年3月31日まで続けること
- 2025年度の目標価格12.5万円/kWh以下であること
- 他の国庫補助金とは併用できない(地方自治体の補助との併用は自治体に確認)
- 公募は2026年12月10日まで。予算に達したら期間内でも受付を終了する
DRは電力の需要量と供給量を合わせる手法です。DR契約は、電力が足りなくなる時間帯や再生可能エネルギーの出力制御に貢献するために、蓄電システムを導入した方と蓄電池アグリゲーター(蓄電システムでDRを行う事業者)が結ぶ契約で、蓄電システムの遠隔コントロールなどが含まれます。小売電気事業者のDRメニューに加入する方法もあります。
ポータブル電源 補助金|自治体の制度を確かめる
国のこの補助の対象は、SIIに登録された家庭用蓄電システムです。公募要領にポータブル電源を対象にするという記載はありません。
ポータブル電源を対象にした補助金は、自治体の制度を個別に確かめます。
東京都の区の制度はポータブル電源の補助金の記事(東京都で使える区一覧)にまとめています。
蓄電池 契約前|その場で決めない
蓄電池は、その場で契約せず、複数社から見積もりをとって比べます。家庭用蓄電池に関する相談は、2016年度の325件から2020年度は1,314件に増えています。
事業者の突然の訪問は、事業者名と目的の確認が先です。売電より自家消費のほうが経済的とは限らない点も、見積もりで確かめます。
購入と見積もりの比べ方は太陽光発電・家庭用蓄電池の費用相場と補助金、一括見積もりのコツの記事にまとめています。
どちらを選ぶ?向く方の条件
ポータブル電源と家庭用蓄電池、どっちが向くかは条件で決まります。目的と、工事の手間をかけられるかが分かれ目です。
家全体を停電中も使いたい方、太陽光と組み合わせて自家消費したい方、設置工事と契約の手間をかけられる方は家庭用蓄電池です。使う機器が決まっている方、工事なしで備えたい方、現場やキャンプにも持ち出したい方には、ポータブル電源が向きます。


家庭用蓄電池が向く方
家全体を停電中もまかないたい方や、太陽光発電と組み合わせたい方に向きます。太陽光のパワーコンディショナと一体型のタイプもあります。
国の補助の条件にあるDR契約を2028年3月31日まで続けられる方、工事のために電気工事士のいる会社を選べる方にも候補です。ただし停電時にどの回路へ給電できるかは機種で違うので、カタログで確かめます。
ポータブル電源が向く方
使う機器が決まっている方や、工事なしで備えたい方に向くのが、ポータブル電源です。
僕は3台を使い分けています。Jackery 1000 New(1,070Wh・約10.8kg)は冷蔵庫とWi-Fiルーターのバックアップに使い、UPSは20ミリ秒未満で切り替わります。Dabbsson 2000L(2,048Wh・約18.6kg・拡張不可)は固定した場所で大型テレビや明かりに、BLUETTI AORA 30 V2(288Wh・約4.3kg)は現場と車での工具の充電に使っています。
安全:製造元がはっきりした製品を選ぶ
どちらを選ぶにしても、製造・販売元がはっきりした製品を選びます。ポータブル電源は、製造・販売元がはっきりしている製品を選び、回収・リサイクルに対応しているか、リコール対象でないかを確かめます。
2021年から2025年までの5年間で、リチウムイオン電池を積んだ製品の事故は2,140件あり、ポータブル電源の事故も増加傾向です。
処分のしかたはポータブル電源の処分方法の記事にまとめています。
ポータブル電源と蓄電池のよくある質問
ポータブル電源は持ち運んでコンセントに挿す電池、家庭用蓄電池は分電盤につなぐ据え置きの設備です。経産省は家庭用蓄電池1台を約9.5kWhと想定していて、1,070Whのポータブル電源の約9倍の容量です。
容量だけなら拡張に対応した機種で近づけます。Jackery 3600 Plus は最大21.5kWh、EcoFlow DELTA Pro 3 は最大12,288Whまで増やせます。ただし家全体の回路につなぐなら工事が要ります。
家庭の分電盤に蓄電池をつなぐ配線工事は電気工事にあたり、第一種または第二種電気工事士でなければ作業に従事できません。違反は三月以下の拘禁刑または三万円以下の罰金の対象です。
国のDR家庭用蓄電池があります。基準額3.45万円/kWh・補助率3/10以内・上限60万円で、SIIに登録された機器であることとDR契約を2028年3月31日まで続けることが条件です。公募は2026年12月10日までで、予算に達したら期間内でも終了します。
使う機器と容量しだいです。9,500Whを96Wで割ると約99時間ですが、これは単純な割り算の目安で、実際に使える量はカタログの初期停電時放電容量で確かめます。
ポータブル電源と蓄電池のまとめ
- ポータブル電源は持ち運んでコンセントに挿す電池、家庭用蓄電池は分電盤につなぐ据え置きの設備です
- 蓄電池を分電盤につなぐ配線工事は電気工事で、電気工事士でなければ作業できません
- 使う機器が決まっているならポータブル電源、家全体や太陽光との自家消費なら蓄電池が向きます
工事なしで、使う機器を停電からまもりたい方は、まずポータブル電源から備えられます。
参照
- 資源エネルギー庁「定置用蓄電システムの現状と課題」(2025年3月12日・資料6)(PDF)
- 経済産業省 分散型エネルギー推進戦略ワーキンググループ(2026年3月6日・資料4)(PDF)
- 電気工事士法(e-Gov法令検索)
- 環境共創イニシアチブ(SII)令和7年度補正「家庭用蓄電システム導入支援事業(DR家庭用蓄電池)」公募要領(PDF)・事業トップ
- 国民生活センター「家庭用蓄電池の相談」(2021年6月3日公表)(公表資料)
- 日本電機工業会(JEMA)蓄電システムの選び方
- 消費者庁の注意喚起(2021年8月25日)(注意喚起)
- 製品評価技術基盤機構(NITE)PSマガジン Vol.506(2026年8月7日)(記事)
- 内閣府防災情報のページ
- Jackery公式(Explorer 1000 New)・Jackery公式(Explorer 3600 Plus)
- EcoFlow公式(DELTA Pro 3)
- Dabbsson公式(2000L)
- BLUETTI公式(AORA 30 V2)
蓄電池の費用相場と見積もりの比べ方は、費用の記事にまとめています。



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