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北海道の太陽光発電・蓄電池|2026年の補助金・雪国の発電量と見積もりのコツ

結論:北海道は「道からの直接補助がない」。市町村の制度が主役で、0円〜80万円級まで差が出ます

北海道で太陽光・蓄電池を検討するなら、次の3つを押さえてください。
北海道から個人への直接の現金補助はありません。道は「市町村を支援する側」に回っており、実際に申請するのは市町村の制度
・国の蓄電池DR補助金は2026年5月29日に受付終了(再開予定なし)。2026年後半の主役は市町村の補助金
・北海道の設計上の要は無落雪屋根と積雪荷重。本州の標準設計をそのまま持ち込むと失敗します

「北海道で太陽光をつけたら、補助金はいくらもらえるの?」——結論から言うと、お住まいの市町村しだいで80万円近い差がつきます。苫小牧市なら太陽光+蓄電池で80万円級、隣の千歳市には太陽光・蓄電池の補助そのものがありません。

僕は電気工事士として電気設備に関わりながら、太陽光や蓄電池についても普段から調べ、相談を受けています。この記事では、北海道内14市町村の補助金を公式サイトで1件ずつ確認して整理しました。金額・条件・受付期間・申請のタイミングまで、2026年7月時点の実際の情報でまとめます。

ネット上には、すでに終了した制度や前年度の金額が「2026年最新」として残っている記事が本当に多くあります。釧路市の補助金は令和7年度で終了していますし、札幌市の蓄電池を「2万円/kWh」と書いているサイトもありますが、令和8年度の公式値は1万6千円/kWhです。この記事は各市の公式ページを一次情報として確認していますが、それでも予算や年度で変わるので、最後は必ず公式でご確認ください。

10市町道内で住宅用の補助を確認(2026年度)
約83万円苫小牧市の太陽光+蓄電池の例
0円千歳市・石狩市・釧路市の市補助

北海道の補助金は「国・道・市町村」の3階建て…ではありません

まず、ここが北海道でいちばん誤解されているところです。他県のページでは「国・県・市町村の3階建て」と説明されることが多いのですが、北海道はこの構造が当てはまりません

理由はシンプルで、北海道から個人への直接の現金補助が存在しないからです。道の支援は「市町村を経由する」形と「価格そのものを下げる」形の2つに分かれています。

よくある誤解

  • 国・道・市の3階建てでもらえる
  • 北海道庁に申請すれば道の補助が出る
  • 道内ならどこでも同じ制度が使える
  • 国の蓄電池60万円がまだ使える

VS

2026年の実際

  • 実質は「国」と「市町村」の2階建て
  • 道への直接申請はできない(市町村が申請主体)
  • 市町村ごとに0円〜80万円級の差
  • 国のDR補助金は5月29日に終了
北海道の支援の実際の流れ
国の補助金(蓄電池のリフォーム枠・新築のZEH)北海道は「市町村」を財政支援する(道民は道に直接申請できない)市町村が自分の制度として補助金を出す(=あなたが申請するのはここ)別ルートで道の「共同購入」が価格を下げる(エリア限定)

つまり、あなたが実際に申請書を出す先は「国」と「お住まいの市町村」の2か所だけ。北海道庁の役割は、その市町村の制度を裏で支える財源になることです。この構造を知らないと、「道の補助金はどこに申請するんですか?」と窓口で聞いて空振りします。

併用例:苫小牧市で太陽光5kW+蓄電池10kWhを入れた場合

道内でいちばん手厚い苫小牧市を例に、「合計いくらになるか」を積み上げてみます。

併用例(苫小牧市・太陽光5kW+蓄電池10kWh・既存住宅)

【市町村】苫小牧市ゼロカーボンハウス促進補助金(国費メニュー)・太陽光:7万円/kW × 5kW = 35万円(上限70万円の範囲内)・蓄電池:設置費用の1/3 = 約48万円(蓄電池10kWh・約145万円で試算)──────────補助金の合計:約83万円(約280万円の設備が実質約197万円)※苫小牧市には別に「市費メニュー」(蓄電池・既存住宅なら設置費用の1/6・上限20万円)もあります

!ただし「必ず全部もらえる」わけではありません

・苫小牧市の国費メニューの財源は環境省の地域脱炭素移行・再エネ推進交付金です。つまりこれ自体が「国のお金」。国のみらいエコ住宅2026(蓄電池9.6万円)と同じ蓄電池に重ねられるかは要確認です(同じ設備への国庫補助の重複は認められないことがあります)・苫小牧市の国費メニューと市費メニューを同じ蓄電池に重ねられるかも、公式ページに明記がありません。必ず市に直接ご確認ください函館市は「国や北海道等の補助金との併用不可」と明記しています。北海道では「併用が当たり前」ではありません・上の金額は2026年7月時点の制度に基づく試算例です。必ずご自身の条件で各窓口にご確認ください

国の補助金【2026年7月の最新状況】蓄電池のDR補助金は終了しました

ここが2026年後半のいちばん大事なポイントです。国の蓄電池補助金(DR補助金)は、すでに受付を終了しています。

DR補助金(家庭用蓄電池・最大60万円)→ 2026年5月29日に終了

正式名称は「令和7年度補正 家庭用蓄電システム導入支援事業」。家庭用蓄電池に対する国の補助として、いちばん金額が大きい制度でした。

iDR補助金の内容と、終了の経緯

・補助金基準額:3.45万円/kWh(初期実効容量)・補助率:設備費+工事費の3/10以内・補助上限:1申請あたり60万円・当初の公募期間:2026年3月24日〜2026年12月10日の予定・実際:交付申請額の合計額が予算に達し、2026年5月29日(金)に公募終了・SII(環境共創イニシアチブ)は「公募の再開を行う予定はありません」と明記

つまり、12月まで受付予定だったものが、5月末で締め切られたわけです。「先着順・予算切れで年度途中に終わる」という補助金の怖さが、そのまま出た例ですね。最新状況はSII公式サイトで確認できます。

次年度(令和8年度補正など)で後継の制度が出る可能性はありますが、2026年7月時点で公表されているものはありません。北海道では停電対策として蓄電池のニーズが特に高いので痛いところですが、「国の60万円がもらえます」と説明する業者がいたら、その場で公式ページを一緒に確認してください。

太陽光パネル単体には、そもそも国の補助金がない

意外に知られていませんが、太陽光パネルそのものに対する国の補助金は2026年度もありませんみらいエコ住宅2026事業のリフォーム枠でも、「太陽光発電設備の設置工事」は対象外と明記されています。

だからこそ、太陽光パネルは市町村の補助金が頼りになります。ここが北海道内で差がつく理由です。

いま使える国の制度(2026年7月時点)— 北海道は新築ZEHが全国最高額

既築住宅のリフォームなら:みらいエコ住宅2026事業

・蓄電池(エコ住宅設備):9.6万円/戸(定額・SII登録の定置用リチウム蓄電池)・リフォームの上限:100万円/戸(〜平成3年築)/80万円/戸(平成4〜28年築)・第2期の期間:2026年5月13日〜12月31日・※太陽光パネルの設置工事は対象外

i新築なら:ZEH支援事業/みらいエコ住宅2026(併用不可)

ZEH支援事業(令和8年度)・ZEH:55万円/戸(地域区分1〜3)/45万円/戸(4〜8)・ZEH+:90万円/戸(地域区分1〜4)/80万円/戸(5〜8)・蓄電システム加算:2万円/kWh・対象経費の1/3・上限20万円/戸のいずれか低い額・公募期間(単年度):2026年5月21日〜12月11日・先着順みらいエコ住宅2026(新築):GX志向型125万円/110万円、長期優良80万円/75万円、ZEH水準40万円/35万円※ZEH支援事業とみらいエコ住宅2026は併用できません。どちらが得か試算を※北海道は地域区分1・2。ZEHもZEH+も最高額の区分にあたります。金額はZEH補助金公式サイトの公募要領で必ずご確認ください

ここは北海道の数少ない「得」なポイントです。ZEHの補助額は寒い地域ほど手厚く設定されていて、北海道は地域区分1・2=最高額の55万円(ZEH+なら90万円)。大阪や東京(区分5〜6)が45万円・80万円なので、新築で建てるなら北海道のほうが10万円多くもらえる計算になります。

北海道の支援【2つの仕組み】道への直接申請はできません

北海道には、太陽光・蓄電池への個人向けの現金給付の補助金はありません。道が用意しているのは、次の2つの仕組みです。

仕組み1:住まいのゼロカーボン化推進事業(=市町村を支援する制度)

道の住まいのゼロカーボン化推進事業は、北方型住宅ZEROの新築や、省エネ改修・太陽光パネル・蓄電池などの導入に補助を出す「市町村」に対して、北海道が財政支援をする事業です。財源は北海道地球温暖化防止対策基金(ゼロカーボン北海道推進基金)。

!ここを間違えないでください

道の公式ページには「こちらの事業は市町村が申請する事業になります。道民や事業者の方は直接申請できませんのでご注意ください」と明記されています。・つまりあなたが北海道庁に補助金を申請することはできません・道のお金は市町村の制度に溶け込んで、市町村の補助金として支給されます・苫小牧市の「市費メニュー」はこの道の事業を活用したもの。表向きは市の補助金ですが、財源をたどると道のお金です・だから「道の補助金+市の補助金」を別々に二重取りすることはできません

この構造は他県にもあって、たとえば愛知県も県への直接申請がなく市町村協調の形をとっています。北海道もこのタイプ、と覚えておくと分かりやすいです。探すべきは「道の制度」ではなく「市町村の制度」ということですね。

仕組み2:太陽光発電共同購入事業(現金ではなく「価格が下がる」)

もうひとつが太陽光発電共同購入事業(北海道 みんなのおうちに太陽光)です。道とアイチューザー株式会社が協定を結んで実施しています。

道の説明によると「道と協定を締結した事業者が、広く道民の皆さんから太陽光発電等の購入希望者を募り、一括して発注することで、スケールメリットを生かし、市場価格よりもお得に購入できる仕組み」。お金がもらえるのではなく、買う値段そのものが下がります

共同購入の流れ
参加登録(無料・購入義務なし)道の協定事業者が入札で施工業者を決定あなた専用の見積もりが届く納得すれば契約・不満なら断ってOK

令和8年度の参加登録期間

参加登録期間:2026年4月9日(木)〜12月9日(水)(2026年7月時点で受付中)・参加登録は無料・購入義務なし。見積もりを見てから断れます・対象は太陽光パネル(10kW未満)・蓄電池・令和7年度は607世帯が見積もりへの参加登録をしています(道公式より)

!共同購入の最大の注意点:全道どこでも使えるわけではありません

北海道の共同購入は設置対象地域が限られています。道公式によると次の3区域です。・さっぽろ連携中枢都市圏(札幌市、小樽市、岩見沢市ほか計12市町村)・胆振管内11市町(苫小牧市、室蘭市、登別市など)・上川管内1市(旭川市)──────────・つまり函館市・釧路市・帯広市・北見市などは対象外です。道南・道東・オホーツクにお住まいなら、共同購入は使えません・機種や条件は入札で決まったものから選ぶ形になり、自由度は高くありません・共同購入の見積もりと、自分で取った一括見積もりを並べて比べるのがいちばん確実です

【一覧】北海道内 市町村の太陽光・蓄電池 補助金(2026年度)

ここが本題です。北海道内の主要14市町について、各市の公式サイトで1件ずつ確認した2026年度(令和8年度)の補助金をまとめました。金額の大きい順に並べています。横にスクロールできます。

市町村 太陽光の補助 蓄電池の補助
苫小牧市 7万円/kW(上限70万円)※自家消費型 国費:設置費用の1/3(14.1万円/kWh未満の機器)※太陽光と同時設置必須/市費:新築1/10(上限12万円)・既存1/6(上限20万円)
北見市 単独メニューなし※蓄電池との同時設置のみ対象 太陽光+蓄電池の同時設置21万円(定額)/蓄電池単独10万円(定額)※市内業者の施工に限る
札幌市 2万円/kW(上限13万9千円)※蓄電池等との接続必須 1万6千円/kWh(上限6万4千円)※太陽光1.5kW以上との接続必須
旭川市 対象経費の1/10(上限10万円) 対象経費の1/10(上限10万円)※市内業者または道の共同購入事業者の施工に限る
江別市 【受付終了】太陽光と蓄電池の同時設置20万円/一方が既設なら10万円 【受付終了】同上(2026年6月5日に予算上限到達)
帯広市 4kW以下:1/10(上限5万円)/4.01〜9.99kW:(出力−4kW)×1万円+5万円(上限10万9千円) 対象経費の1/10(上限10万円)※募集150件
岩見沢市 蓄電池との同時導入で経費の10%または15万円の低い方※太陽光単独は対象外 蓄電池のみなら経費の10%または7万5千円の低い方
小樽市 省エネ基準適合:対象工事費の4/10(限度額40万円)/ZEH水準:8/10(限度額70万円)※窓等の断熱改修とのセット必須 同左(太陽光と同じ「省エネ型設備機器」枠・個別単価なし)
函館市 最大5万円(定額) 最大5万円(定額)※国や北海道等の補助金との併用不可
北広島市 1万円/kW(上限3万円) 5万円(定額)※受付は2026年7月31日まで
千歳市 実施なし※制度は給湯器・暖房機のみが対象 実施なし
石狩市 実施なし※制度は冷蔵庫・エコキュート・エアコンのみが対象 実施なし
釧路市 実施なし※ecoライフ促進支援補助金は令和7年度をもって終了 実施なし
恵庭市 確認できず※旧制度は令和3年度で終了・令和8年度の記載なし(要確認) 確認できず(要確認)

!この表の読み方・注意

・金額はすべて2026年7月時点で各市町村の公式ページから確認した目安です・補助金は年度・予算で変わり、先着順で年度途中に終了します。申請前に必ず公式で最新をご確認ください・「実施なし」は2026年度に住宅用の太陽光・蓄電池の制度が確認できなかったという意味です(過去にあった市もあります)・釧路市は「釧路市ecoライフ促進支援補助金制度の終了について(令和7年度をもって終了しました)」と公式に明記されています。他サイトに残る掲載にご注意を・千歳市・石狩市は「ゼロカーボン化推進事業」「省エネ機器購入補助金」という名前の制度がありますが、対象は給湯器や家電で、太陽光・蓄電池は対象外です。名前だけ見て「補助金あり」と紹介している記事があるので注意・恵庭市は公式ページに令和8年度の記載がなく、「実施なし」と断定できません。環境課への確認が必要です

☀️あわせて読みたいくわしくは:太陽光・蓄電池の補助金2026国・自治体の補助金の仕組み、DR補助金、申請の流れと注意点を電気工事士が解説しています。

主要市の補助金を個別解説【金額・条件・受付期間】

金額が大きい市と、注意が必要な市を個別に見ていきます。

苫小牧市:道内最高水準(太陽光は7万円/kW・上限70万円)

「令和8年度苫小牧市ゼロカーボンハウス促進補助金」。道内でいちばん手厚い制度です。財源は環境省の地域脱炭素移行・再エネ推進交付金(重点対策加速化事業)と、北海道の住まいのゼロカーボン化推進事業。

苫小牧市の補助金(2026年度)

・太陽光(国費):7万円/kW(上限70万円)※自家消費型・蓄電池(国費):設置費用の1/3(14.1万円/kWh未満の機器に限る)※太陽光と同時設置が必須・蓄電池(市費):新築は設置費用の1/10(上限12万円)/既存住宅は1/6(上限20万円)・受付開始:2026年4月28日先着順・予算額に達し次第終了・条件:事業着手予定日の14日前までに申請(着手日=契約締結日か工事着工日の早いほう)

注目は予算の残りです。公式ページには「令和8年7月8日時点」で国費残額 44,983,000円、市費残額 2,480,000円と表示されています。国費はまだ4,500万円近く残っている一方、市費は248万円しか残っていません。市費メニュー(蓄電池 上限20万円)を狙うなら、かなり急ぐ必要があります。

もうひとつの落とし穴が「着手日=契約締結日を含む」という点。契約書にハンコを押した日が着手日になるので、契約の14日前には申請を出しておく必要があります。「工事の14日前」ではありません。

札幌市:抽選制。第2回は9月1日から(蓄電池は1万6千円/kWh)

道都・札幌市は「再エネ省エネ機器導入補助金制度」。人口が多いぶん申込も多く、先着順ではなく抽選という珍しい形です。

i札幌市の補助金(2026年度)

・太陽光:2万円/kW(上限13万9千円)※1.5kW以上・蓄電池またはEV+V2Hとの接続が必須・蓄電池:1万6千円/kWh(上限6万4千円)※2.0kWh以上・本体10万円以上(税抜)・太陽光1.5kW以上との接続が必須・合計の上限:20万3千円・第1回:2026年5月7日〜7月8日(終了)/第2回:2026年9月1日〜11月4日・条件:応募額が予算額を超過した場合のみ抽選(超過しなければ全員当選)/余剰型配線または全量自家消費型(全量売電は不可)/札幌市エコエネクラブへの入会が必須(太陽光の補助を受ける場合)/札幌市税を滞納していないこと/1世帯につき年度内1回

ここは他サイトの記載に誤りが目立つところです。「蓄電池2万円/kWh」「合計最大22万円」と書いているサイトがありますが、令和8年度の公式値は蓄電池1万6千円/kWh・上限6万4千円で、合計しても20万3千円が上限です。金額は必ず札幌市の公式ページでご確認ください。

なお、第1回はすでに終了していますが、第2回が9月1日から始まります。今から検討する方はここを狙う形になります。第2回の終了後に予算が余っていれば、先着で追加募集が行われる可能性もあります。

北見市:太陽光単独では出ない。市内業者の施工が必須

i北見市の補助金(2026年度)

・太陽光:単独の補助メニューはありません(蓄電池との同時設置のみ対象)・太陽光+蓄電池の同時設置:21万円(定額)・16件・蓄電池単独:10万円(定額)・27件・受付:2027年2月26日(金)まで(当初は6月30日まででしたが、募集枠に空きがあるため追加募集として延長中)/先着順・条件:市内に事業所(営業所を含む)を有する業者の施工に限る/太陽光は2kW以上10kW未満/蓄電池は常時太陽光と接続/市税滞納者は対象外

北見市は「太陽光だけ」では1円も出ません。蓄電池とセットにして初めて21万円が出る設計です。さらに市内業者の施工が必須という強い縛りがあるので、業者選びの自由度が下がります。ここは事前に「御社は北見市内に事業所がありますか」と確認しておきましょう。

一方で明るい材料もあって、7月1日時点で募集枠に空きがあり、締切が2月26日まで延長されています。道内では珍しく「まだ余裕がある」制度です。

旭川市:着工前申請が必須。第1回の予算は500万円

i旭川市の補助金(2026年度)

・太陽光:対象経費の1/10(上限10万円)※kW単価ではなく定率・蓄電池:対象経費の1/10(上限10万円)・第1回受付:2026年4月17日〜8月31日(必着)/先着順・予算額に到達次第終了第1回の交付予定額は500万円・条件:着工前申請が必須(「交付決定通知書を受けた日以降でなければ着手できません」)/施工は旭川市内に本店・支店・営業所等を有する事業者、または北海道の共同購入事業の事業者に限る市税の滞納のない証明書の提出が必須

旭川市も市内業者の縛りがあります。ただし「北海道の共同購入事業の事業者」も認められているのが面白いところ。旭川市は道の共同購入の対象エリア(上川管内1市)なので、共同購入で契約して、市の補助金も申請するというルートが公式に用意されているわけです。

ただし第1回の予算は500万円と小さめ。1件10万円なら50件で終わる計算です。2026年7月中旬の時点で残っているかは、申請前に市へ直接ご確認ください

帯広市:太陽光の上限は10万9千円。「おひさまソーラーネット帯広」への入会が必須

i帯広市の補助金(2026年度)

・太陽光:4.00kW以下=対象経費の1/10(上限5万円)4.01〜9.99kW=(発電出力−4kW)×1万円+5万円(上限10万9千円)・蓄電池:対象経費の1/10(上限10万円)・募集150件・受付:2026年4月1日〜2027年1月29日/先着順/太陽光の予算総額1,540万円・条件:着工前申請が必須(着工後の申請・決定通知前の着工は対象外)/「おひさまソーラーネット帯広」への入会申込書の提出が必須(太陽光の場合)/市税滞納なし

帯広市の太陽光は4kWを超えた分だけ1万円/kWが加算されるという独特の計算式です。5kWなら「(5−4)×1万円+5万円=6万円」。金額は控えめですが、受付期間が1月29日までと長めで使いやすい制度です。

そして帯広は、後で詳しく触れますが年間日照時間2,020.1時間と道内トップクラス。補助金は小さくても、発電量で取り返せる地域です。

函館市:金額は5万円だが「国・道との併用不可」が最大の落とし穴

!函館市の補助金(2026年度)

・太陽光:最大5万円(定額)・蓄電池:最大5万円(定額)・受付:2026年4月1日〜2027年3月1日/先着順・予算に達した段階で終了・条件:工事着手の2週間以上前に申請(交付決定前の着工・建売の引渡しは不可)/国や北海道等の補助金との併用不可/市税に滞納がないことの証明書が必要/年度内に当該住宅に居住すること

函館市で絶対に見落としてはいけないのが「国や北海道等の補助金との併用不可」です。つまり国のみらいエコ住宅2026(蓄電池9.6万円)と函館市の5万円は、どちらか一方しか選べません

この場合、金額が大きい国の9.6万円を選ぶほうが有利です。「市の補助金があるから」と飛びつくと、かえって4.6万円損することになります。北海道は「併用が当たり前」ではない、という典型例ですね。なお函館市は道の共同購入の対象エリアにも入っていません

釧路市・千歳市・石狩市:太陽光・蓄電池の補助はありません

ここは正直にお伝えします。釧路市・千歳市・石狩市には、2026年度の住宅用太陽光・蓄電池の補助金がありません。

釧路市は「釧路市ecoライフ促進支援補助金制度」が令和7年度をもって終了したと公式に明記されています(更新日2026年3月24日)。市は代わりに国の「住宅省エネ2026キャンペーン」を案内しています。

千歳市の「ちとせ住まいのゼロカーボン化推進事業」、石狩市の「家庭用省エネ機器購入補助金」は名前こそ環境系ですが、対象は給湯器・暖房機・冷蔵庫・エアコンなどで、太陽光と蓄電池は対象外です。名前が紛らわしいので、「ゼロカーボン=太陽光の補助がある」と早合点しないでください。

これらの市にお住まいなら、使えるのは①国のみらいエコ住宅2026(蓄電池9.6万円)②道の共同購入(千歳市・石狩市は対象エリア。釧路市は対象外)、そして③相見積もりで値段を下げること補助金がない市ほど、相見積もりで価格を下げる意味が大きくなります。

SOL|電気工事士SOL|電気工事士

今回、北海道内14市町の公式ページを1件ずつ確認して驚いたのが、「道の補助金」を探しても見つからないことでした。北海道は道民が直接申請できる制度を持っていなくて、お金は市町村の制度に溶け込んでいる。ここを知らずに道庁に電話しても空振りします。それと、終わった制度がネットに残りすぎです。釧路市は令和7年度で終了しているのに掲載しているサイトがありますし、札幌市の蓄電池を「2万円/kWh」と書いているサイトも見かけました(公式は1万6千円/kWh)。函館市にいたっては国の補助と併用できないのに、それを書いているサイトはほとんどありません。金額は必ず市の公式ページで確認してくださいね。

【導入パターン別】補助金でいくら安くなる?シミュレーション

「結局いくら安くなるの?」を、2つの導入パターンで計算します。2026年7月時点の制度で試算しました。

パターン1:太陽光5kW+蓄電池10kWhのセット導入

いちばん多い組み合わせです。設備の総額は約280万円(太陽光5kW=約135万円+蓄電池10kWh=約145万円)を前提にします。

太陽光5kW+蓄電池10kWh:補助金の積み上げ(苫小牧市の例/単位・万円)
35%48%
苫小牧市の太陽光(7万円/kW×5kW)(35%)苫小牧市の蓄電池(国費・設置費用の1/3)(48%)

※合計 約83万円。約280万円の設備が実質約197万円に。2026年7月時点の制度に基づく試算例。国のみらいエコ住宅2026との併用可否は要確認

約83万円苫小牧市の補助金の合計
約197万円実質負担(280万円−83万円)
約30%負担軽減率

同じ構成でも、市町村が変わると大きく違います。並べてみましょう。

太陽光5kW+蓄電池10kWh:市町村別の補助金合計の目安
苫小牧市83万円
北見市21万円
札幌市20.3万円
旭川市20万円
江別市20万円
帯広市16万円
岩見沢市15万円
函館市10万円
北広島市8万円
千歳市0万円

※市町村の補助金のみの合計(国の9.6万円は含まず)。江別市は2026年6月5日に受付終了。函館市は国・道との併用不可のため実際は国の9.6万円を選ぶほうが有利。上限・条件により変動。2026年7月時点の目安

苫小牧市と千歳市で約83万円の差。しかも両市は車で30分ほどの距離です。これが「北海道の補助金は市町村しだい」という意味です。

パターン2:蓄電池のみを追加導入(すでに太陽光がある場合)

卒FIT後などに「蓄電池だけ追加したい」というケース。ここは2026年は厳しい状況です。

!蓄電池のみ10kWhを導入する場合(2026年7月時点)

国:0円・DR補助金(最大60万円)は2026年5月29日に受付終了・再開予定なし・みらいエコ住宅2026のリフォーム枠なら9.6万円は使えます市町村:0〜10万円程度・北見市:10万円(蓄電池単独可)/旭川市:上限10万円/帯広市:上限10万円/岩見沢市:7万5千円/札幌市:上限6万4千円(ただし太陽光との接続が必要なので既設太陽光があればOK)/江別市:10万円(一方が既設の場合・ただし受付終了)・苫小牧市の国費メニューは太陽光との同時設置が必須なので、蓄電池のみでは対象外・釧路市・千歳市・石狩市はそもそも制度がありません──────────合計の目安:約9.6万〜約19.6万円(例:北見市なら国9.6万+市10万=19.6万円

太陽光+蓄電池のセット

  • 補助金 合計 約83万円(苫小牧市の例)
  • 市の補助が太陽光分もフルに乗る
  • セット必須の市でも対象になる
  • 負担軽減率 約30%

VS

蓄電池のみ

  • 補助金 合計 約19.6万円(北見市の例)
  • 国のDR補助金が終了して激減
  • 苫小牧市・岩見沢市の太陽光枠では対象外
  • 負担軽減率 約13%

結論として、2026年後半に蓄電池を検討するなら「太陽光とセット」が圧倒的に有利です。蓄電池のみは、国のDR補助金が終わったことで支援が大きく減りました。すでに太陽光がある方は、急がずに次の国の公募を待つという判断もあり得ます(ただし再開は保証されていません)。

補助金申請で失敗しない5つのポイント

今回14市町を調べて分かった、北海道で特にハマりやすい落とし穴をまとめます。

「契約前・着工前の申請」が必要な市がほとんど

補助金の原則は「契約・着工の前に申請」です。北海道は特にこの傾向が強く、旭川市・帯広市・岩見沢市・江別市は着工前申請が必須函館市は工事着手の2週間以上前苫小牧市は事業着手予定日の14日前までが条件です。
特に注意したいのが苫小牧市で、「着手日=契約締結日か工事着工日の早いほう」と定義されています。つまり契約書にハンコを押した時点でアウト。契約の14日前には申請を出す必要があります。「工事の2週間前でいいや」と思っていると間に合いません。
一方、札幌市は「申込→抽選→設置→完了届」という流れで、対象機器は2026年2月7日以降に取得したものが条件です。「うちの市はどっちか」を最初に確認してください。

先着順・予算切れで年度途中に終わる(すでに終わった市も)

ほぼすべての市が先着順で、予算に達した時点で終了します。国のDR補助金が、12月まで受付予定だったのに5月29日で終わったのがいい例です。
北海道では江別市がすでに2026年6月5日に予算上限到達で受付終了しています(本来は12月28日まででした)。北広島市は7月31日が締切で、この記事を書いている時点で残り2週間ほど。苫小牧市の市費メニューは残り248万円(7月8日時点)です。
一方、北見市は募集枠に空きがあり2月26日まで延長中苫小牧市の国費は約4,498万円が残っています(7月8日時点)。札幌市は9月1日から第2回が始まります。「まだあるうちに動く」が鉄則です。

「市内業者の施工に限る」という縛りが北海道は多い

ここが本州との大きな違いです。大阪府では「市内業者に限る」要件はほぼ見られませんでしたが、北海道は市内業者の縛りが目立ちます
北見市は「市内に事業所(営業所を含む)を有する業者の施工に限る」旭川市は「市内に本店・支店・営業所等を有する事業者、または北海道の共同購入事業の事業者に限る」小樽市は市の資格登録業者に限定千歳市も(太陽光は対象外ですが)市内事業者との契約が条件です。
つまり「安い業者を見つけたのに、市内業者じゃないから補助金がもらえない」ということが起こり得ます。補助金の額と、業者を自由に選べる自由度、どちらが得かを天秤にかけてください。旭川市のように道の共同購入事業者なら市外でもOKという抜け道があるケースもあります。

「セット必須」「単独不可」「併用不可」の条件を見落とさない

北海道内で特に多いのがこれです。北見市は太陽光単独では出ません(蓄電池との同時設置のみ)、岩見沢市も太陽光単独は対象外(蓄電池とのセット必須)、苫小牧市の蓄電池(国費)は太陽光との同時設置が必須札幌市の太陽光は蓄電池やV2Hとの接続が必須小樽市は窓等の断熱改修とのセットが必須
そして最大の罠が函館市の「国や北海道等の補助金との併用不可」市の5万円を取ると国の9.6万円が使えません。この場合は国を選ぶほうが有利です。
「太陽光だけ先に入れて、蓄電池は来年」と分けると、両方もらえなくなる市があるということです。

全量売電は不可。独自の入会条件がある市も

札幌市は「余剰型配線または全量自家消費型」が条件で、全量売電は不可江別市も余剰型配線が必須岩見沢市も余剰型配線で系統連系できることが要綱に書かれています。苫小牧市の太陽光は自家消費型が対象です。「売電で稼ぐ」前提の提案を受けている場合、補助金と両立しないことがあります。
北海道ならではの独自条件もあります。札幌市は「札幌市エコエネクラブ」への入会が必須(太陽光の補助を受ける場合)、帯広市は「おひさまソーラーネット帯広」への入会申込書の提出が必須。どちらも申請書と一緒に出す書類が増えるので、業者に伝えておきましょう。
また、ほぼすべての市で市税の滞納がないことが条件で、旭川市・函館市は滞納がない証明書の提出まで求められます。取り寄せに時間がかかるので、早めに動いてください。

i迷ったらこの順番で

1. お住まいの市町村の公式ページ(「◯◯市 太陽光 補助金 令和8年度」で検索)で制度の有無と締切を確認2. 着工前申請か事後申請かを確認(ここを間違えると全部パー。北海道はほぼ着工前)3. 市内業者の縛りがあるかを確認(あるなら業者選びの範囲が変わります)4. セット必須・併用不可かどうかを確認して、導入プランを決める5. 相見積もりを取る(道の共同購入が使えるエリアなら、その見積もりとも比べる)

北海道の日射量と発電量の特徴【冬の落ち込みと低温メリットの両面】

補助金の話が続いたので、肝心の「北海道で本当に発電するのか」も確認しておきましょう。ここは誤情報がいちばん多いところです。

まず事実:北海道は「日照が少ない」で一括りにできない

気象庁の平年値(1991〜2020年)で、道内の主要都市の年間日照時間を並べてみます。

年間日照時間(気象庁の平年値 1991〜2020年)
大阪2048.6時間
帯広2020.1時間
東京1926.7時間
函館1744.9時間
札幌1718.0時間
旭川1566.5時間

※気象庁の観測地点別の平年値。帯広は大阪とほぼ同水準。同じ北海道でも帯広と旭川で450時間以上の差がある

驚きませんか。帯広は2,020.1時間で、大阪(2,048.6時間)とほぼ同じ。東京(1,926.7時間)より100時間近く多いのです。十勝地方は冬でも晴天が多く、日照条件だけ見れば全国でも良好な部類に入ります。

一方で旭川は1,566.5時間と道内でも少なく、帯広とは450時間以上の差があります。「北海道だから日照が少ない」は、あまりに雑な話なんですね。

!よくある誤情報:札幌の日照時間は「1,848時間」ではありません

「札幌の年間日照時間は約1,850時間」と書いているサイトが多くありますが、気象庁の平年値(1991〜2020年)は1,718.0時間です。130時間ほど多く見積もられています。同じく「大阪は2,320時間」という記載もよく見かけますが、気象庁の平年値は2,048.6時間比較対象の両方が水増しされているので、この手の数字で判断しないようにしましょう。実際の札幌と大阪の差は約330時間(約16%)です。

冬は本当に落ちる。ただし低温はプラスに働く

北海道の特徴は季節による落差の大きさです。札幌の月別の日照時間を見てください。

札幌の月別の日照時間(気象庁の平年値 1991〜2020年)
1月90.4時間
2月103.5時間
3月144.7時間
4月175.8時間
5月200.4時間
6月180.0時間
7月168.0時間
8月168.1時間
9月159.3時間
10月145.9時間
11月99.1時間
12月82.7時間

※12月(82.7時間)は5月(200.4時間)の約4割。冬の落ち込みが北海道の最大の特徴

12月は82.7時間で、5月(200.4時間)の約4割しかありません。しかも札幌の年間の降雪の深さの合計は479cm(気象庁平年値)。パネルが雪に覆われれば、日照があっても発電はほぼ止まります。冬の発電量が大きく落ちるのは、正直に言って事実です。

ただし、逆方向の効果もあります。太陽光パネルは高温になると出力が落ちるという性質があり、一般的な結晶シリコン系パネルの温度係数はおおむね−0.3〜−0.4%/℃(25℃基準)。真夏に本州でパネル表面が70℃近くまで上がると、カタログ値から15%前後も出力が落ちることがあります。

北海道は猛暑が穏やかなので、この温度ロスが小さい。春〜秋の発電効率は本州より有利に働きます。実際、5月(200.4時間)は札幌でも年間最多で、春から秋にかけてはしっかり発電します

北海道のマイナス面

  • 12月の日照は5月の約4割
  • 年間降雪479cm(札幌)でパネルが覆われる
  • 冬季は発電がほぼ止まる期間がある
  • 年間発電量は本州より少なめ

VS

北海道のプラス面

  • 低温でパネルの温度ロスが小さい
  • 帯広は大阪並みの日照時間
  • 春〜秋の発電はしっかり出る
  • 暖房の電化と自家消費の相性がいい

発電量の目安としては、1kWあたり年間およそ950〜1,100kWhを見ておくと現実的です。5kWのシステムなら年間5,000kWh前後。本州の主要都市(1,100〜1,200kWh/kW)と比べると1割前後少なめですが、帯広のように日照条件のいい地域なら本州並みも狙えます

ただし、実際の発電量は屋根の向き・傾斜・雪の残り方で大きく変わります。ここから先が、北海道でいちばん大事な話です。

☀️あわせて読みたいくわしくは:太陽光発電の発電量の目安1kWあたり・容量別・地域差の発電量の目安を、電気工事士が数字で解説しています。

積雪寒冷地の屋根選び・雪対策【北海道で最重要】

ここが北海道のページでいちばん読んでほしいところです。補助金より重要かもしれません。

北海道の主流は「無落雪屋根」。雪は落ちない前提で考える

他サイトを読むと「北海道では傾斜角40〜45度にすれば雪が滑り落ちます」と書かれています。これは北海道の住宅の実態と噛み合っていません。

理由は単純で、札幌をはじめ北海道の住宅は「無落雪屋根」が主流だからです。無落雪屋根は雪を落とさずに屋根の上で処理する設計で、スノーダクト方式(屋根の中央に向けて緩く勾配をつけ、ダクトから雪解け水を排水)、フラットルーフ方式、勾配屋根方式(雪止めで雪を留める)の3種類があります。

共通するのは「勾配がほとんどない、あるいは雪を意図的に留める」という点。そもそも雪を滑り落とさない設計なんです。市街地では隣家との距離が近く、落雪が事故や近隣トラブルになるため、この形が広まりました。

!無落雪屋根に太陽光を載せるときの注意点

雪は自然に落ちません。パネルの上に雪が積もったまま、冬の間ずっと発電しない期間が生まれます・下地の強度が足りないことがある:太陽光の設置には構造用合板12mm以上といった下地の基準がありますが、無落雪屋根には「バラ板」と呼ばれる下地の建物が多く、基準に合わないことがあります・防水のリスク:スノーダクト方式はもともとスガモリ(すが漏れ)やオーバーフローによる雨漏りが起きやすい形状です。板金に穴を開ける従来工法だと、雨漏りリスクが上がります対策はあります:無落雪屋根向けに、穴を開けずに設置する専用の架台・レール工法が実用化されています。「無落雪屋根への施工実績は何件ありますか」「穴を開けない工法は使えますか」と必ず聞いてください・屋根の形状を先に伝える:見積もり依頼の時点で「うちはスノーダクトです」「フラットルーフです」と伝えると、話が早く、無駄な提案を減らせます

積雪荷重:屋根と架台が雪の重さに耐えられるか

札幌の年間降雪量は479cm(気象庁平年値)。積もった雪の重さは相当なもので、湿った雪なら1立方メートルあたり300〜500kgにもなります。

!積雪荷重で必ず確認すること

その地域の垂直積雪量で設計されているか(建築基準法に基づき市町村ごとに数値が定められています。札幌市と旭川市、岩見沢市では想定すべき積雪量が違います)・屋根そのものが、パネル+架台+積雪の重さに耐えられるか。既存住宅なら、建てた当時にパネルの重さは想定されていません・架台のメーカー保証が、その積雪量で有効か。本州向けの標準架台だと保証範囲外になることがあります・「積雪何cmまで想定していますか」と業者に必ず質問してください。即答できない業者は避けたほうが無難です

勾配屋根なら「落雪の向き」を設計する

無落雪屋根ではなく勾配のある屋根の場合は、話が変わります。パネル表面はガラスで滑りやすいので、屋根材より雪が落ちやすくなるのです。これはメリットにもリスクにもなります。

i勾配屋根の場合のチェックポイント

落雪の向き:滑り落ちた雪が玄関・カーポート・給湯器・隣家に当たらないか。人身事故や近隣トラブルの原因になります・落雪スペースの確保:雪が落ちる先に、雪を溜められる空き地があるか・雪止めとの関係:もともと雪止めが付いている屋根にパネルを載せると、パネルの上に雪が残ることがあります・雪下ろしの動線:パネルの上に登るのは危険です。雪下ろしが必要な設計にしないのが基本の考え方

寒冷地仕様の機器:パワコンと蓄電池の動作温度

意外と見落とされるのが機器の動作温度です。旭川では−20℃を下回る日も珍しくありません。

蓄電池は低温に弱いという性質があります。リチウムイオン電池は低温で内部抵抗が上がり、充放電の能力が落ちたり、保護機能で動作が制限されたりすることがあります。屋外設置型の蓄電池を選ぶなら、動作保証温度の下限(−10℃なのか−20℃なのか)を必ずカタログで確認してください。屋内設置型を選ぶ、という判断もあります。

パワコンも同様に動作温度の範囲があり、寒冷地対応モデルが用意されているメーカーもあります。「北海道でこの機種を何件入れましたか」と聞くのが、いちばん手っ取り早い確認方法です。

ブラックアウトの記憶:北海道で蓄電池が持つ意味

北海道で蓄電池を語るなら、この話は避けて通れません。

2018年9月6日3時7分に発生した北海道胆振東部地震で、北海道エリアは1951年の9電力体制成立以降で日本初となる、一エリア全域に及ぶ大規模停電(ブラックアウト)に見舞われました。資源エネルギー庁の解説によれば、苫東厚真火力発電所の停止をきっかけに周波数が急落し、最大約295万戸が停電。約2日で99%が復旧しましたが、道内のほぼ全世帯が電気を失いました。

もしこれが真冬に起きていたらと考えると、話の重さが変わります。北海道の暖房は電気に依存する部分が大きく、灯油ストーブでも点火や送風に電気を使う機種がほとんど。停電=暖房停止は、北海道では命に関わります。

!ただし過度な期待は禁物です

蓄電池があれば冬の停電を完全にしのげる、わけではありません。暖房は消費電力が大きく、10kWhの蓄電池で家全体の暖房を長時間まかなうのは現実的ではありません・現実的な使い方は「特定負荷」——暖房機の制御・送風、冷蔵庫、照明、通信機器といった最低限の回路だけをつなぐ設計です・冬の停電時は太陽光からの充電もあてにしにくい(日照が短く、パネルが雪に覆われている可能性が高い)・それでも「数日間、最低限の生活を維持する」価値は大きいのが北海道です。どの回路を非常用につなぐかを、業者と具体的に決めてください

暖房の電化と自家消費の相性

もうひとつ北海道ならではの利点が暖房の電化との相性です。灯油ストーブからヒートポンプ暖房へ切り替える家庭が増えていて、太陽光+蓄電池があれば昼にためた電気を暖房や給湯に回せます

北海道は本州より1世帯あたりの年間エネルギー消費量が大きい地域。暖房需要が大きいぶん、自家消費で減らせる電気代の絶対額も大きくなります。しかも札幌市・江別市・岩見沢市・苫小牧市の補助金は自家消費型・余剰型配線が条件。制度の側も「売るより使う」方向に誘導しているわけです。

北海道での設置費用の相場と、失敗しない見積もりの取り方

北海道の設置費用の相場は全国とおおむね同じで、1kWあたり約27〜30万円。住宅用の5kWで135〜150万円、蓄電池10kWhで約145万円が目安です。

ただし北海道では、積雪荷重に耐える架台・寒冷地対応の機器・無落雪屋根向けの専用工法を選ぶぶん、本州より数万円〜数十万円ほど上乗せになることがあります。ここをケチってはいけません。架台の強度不足や雨漏りは、10年後に補助金の何倍もの修繕費になって返ってきます。必要な仕様は削らず、その上で価格を比べるのが正解です。

北海道で費用を抑える4つの方法

相見積もりで複数社を比較(雪国仕様を満たしたうえで価格を比べる)・道の共同購入の見積もりと、自分で取った一括見積もりを並べて比べる(対象エリアの方のみ)・市町村の補助金の締切に間に合わせる(先着順・予算切れで終了。江別市はすでに終了)・太陽光と蓄電池をセットで導入する(セット必須の市が多く、補助額も大きい)

業者に必ず聞いてほしい質問を挙げておきます。「積雪何cmまで想定した設計ですか」「うちの屋根(無落雪/勾配)への施工実績は何件ですか」「穴を開けない工法は使えますか」「蓄電池の動作保証温度の下限は何℃ですか」「落雪はどちらに向かいますか」。この5つに即答できる会社なら、まず安心していいと思います。

本州向けの標準設計をそのまま持ってくる業者だと、架台強度や下地の確認、落雪対策が甘くなりがちです。訪問販売の「今だけ」に流されず、必ず複数社を比較してください。共同購入が使えるエリアなら、その見積もりと一括見積もりの両方を並べるのがいちばん確実です。

☀️あわせて読みたいくわしくは:太陽光発電の費用・相場20261kWあたり単価・容量別・内訳・費用を抑える方法を、電気工事士が数字で解説しています。

【無料】発電量・回収シミュレーション

「我が家だとどのくらい発電して、何年で元が取れるか」を、下のシミュレーターで試してみましょう。地域・容量・電気代を入れるだけで目安が出ます。

☀️ 太陽光・蓄電池 かんたん回収シミュレーター

お住まいの地域と条件を選ぶと、初期費用・年間の経済効果・回収年数の目安が自動で計算されます。

北海道は冬に発電が落ちるぶん、シミュレーションは年間トータルで見るのがコツです。ここに市町村の補助金が乗れば、回収年数はさらに短くなります。あくまで目安なので、正確な金額は雪国の施工に強い会社の無料一括見積もりで確認しましょう。

北海道の太陽光・補助金でよくある質問

北海道の太陽光の補助金は、いくらもらえますか?

お住まいの市町村で大きく変わります。2026年度でいちばん手厚いのは苫小牧市(太陽光7万円/kW・上限70万円+蓄電池は設置費用の1/3)で、太陽光5kW+蓄電池10kWhなら市の補助だけで約83万円。次いで北見市21万円、札幌市20万3千円、旭川市20万円と続きます。一方、釧路市・千歳市・石狩市には太陽光・蓄電池の補助金がなく0円です。

北海道(道)の補助金はどこに申請すればいいですか?

申請できません。北海道の「住まいのゼロカーボン化推進事業」は、太陽光・蓄電池などに補助を出す市町村を道が財政支援する事業で、道の公式ページに「こちらの事業は市町村が申請する事業になります。道民や事業者の方は直接申請できませんのでご注意ください」と明記されています。道のお金は市町村の補助金に溶け込む形で支給されるので、あなたが申請するのは市町村の制度です。

国の蓄電池補助金(最大60万円)はまだ使えますか?

使えません。国のDR補助金(令和7年度補正 家庭用蓄電システム導入支援事業)は、当初2026年12月10日までの予定でしたが、交付申請額の合計額が予算に達したため2026年5月29日に公募終了しました。SIIは「公募の再開を行う予定はありません」と明記しています。現在使える国の蓄電池支援は、みらいエコ住宅2026事業のリフォーム枠(9.6万円/戸)と、新築のZEH支援事業の蓄電システム加算(上限20万円)です。

北海道は雪で発電しないのでは?

冬は確かに大きく落ちます。気象庁の平年値で札幌の12月の日照時間は82.7時間で、5月(200.4時間)の約4割。年間降雪量は479cmで、パネルが雪に覆われれば発電はほぼ止まります。ただし春〜秋はしっかり発電し、低温でパネルの温度ロスが小さいという利点もあります。1kWあたり年間950〜1,100kWh程度が目安で、本州より1割前後少なめというのが現実的な見方です。

北海道の日照時間は全国で最低レベルですか?

一括りにはできません。気象庁の平年値(1991〜2020年)では、帯広は2,020.1時間で大阪(2,048.6時間)とほぼ同水準、東京(1,926.7時間)より多いです。一方、旭川は1,566.5時間、札幌は1,718.0時間、函館は1,744.9時間。同じ道内でも帯広と旭川で450時間以上の差があります。なお「札幌1,850時間」と書いているサイトがありますが、実際の平年値は1,718.0時間です。

無落雪屋根でも太陽光は設置できますか?

設置できますが、専門的な確認が必要です。無落雪屋根(スノーダクト方式・フラットルーフ方式)は雪を屋根の上で処理する設計なので、パネルの雪は自然には落ちません。また、下地が「バラ板」で太陽光の設置基準(構造用合板12mm以上など)に合わない建物が多く、板金に穴を開ける従来工法では雨漏りリスクもあります。近年は穴を開けずに設置できる専用のレール工法もあるので、「無落雪屋根への施工実績」と「穴を開けない工法が使えるか」を必ず確認してください。

傾斜角は40〜45度にすれば雪が落ちますか?

勾配屋根ならその考え方は有効ですが、北海道の住宅は無落雪屋根が主流で、そもそも雪を落とさない設計です。市街地は隣家との距離が近く、落雪が事故やトラブルになるため無落雪が広まりました。勾配屋根の場合はパネル表面がガラスで滑りやすく屋根材より雪が落ちやすいので、落雪が玄関・カーポート・給湯器・隣家に当たらない向きに設計し、雪を溜めるスペースを確保することが重要です。まず自宅の屋根がどちらかを確認してください。

蓄電池があれば冬の停電でも安心ですか?

過度な期待は禁物です。2018年の北海道胆振東部地震では日本初のエリア全域停電(ブラックアウト)が発生し、最大約295万戸が停電しました。暖房が電気に依存する北海道で蓄電池の防災価値は大きいのですが、暖房は消費電力が大きく、10kWhの蓄電池で家全体の暖房を長時間まかなうのは現実的ではありません。また冬の停電時は日照が短くパネルも雪に覆われがちで、太陽光からの充電もあてにしにくいです。暖房の制御・送風、冷蔵庫、照明など最低限の回路だけをつなぐ「特定負荷」の設計が現実的です。

函館市の補助金5万円と国の補助金は両方もらえますか?

もらえません。函館市は公式に「国や北海道等の補助金との併用不可」と明記しています。つまり市の5万円と国のみらいエコ住宅2026(蓄電池9.6万円)はどちらか一方のみ。金額が大きい国の9.6万円を選ぶほうが有利です。「市の補助金があるから」と飛びつくと、かえって4.6万円損することになります。北海道では併用が当たり前ではないので注意してください。

道の共同購入は北海道のどこでも使えますか?

使えません。北海道の太陽光発電共同購入事業(みんなのおうちに太陽光)は設置対象地域が限られており、さっぽろ連携中枢都市圏(札幌市・小樽市・岩見沢市ほか計12市町村)、胆振管内11市町、上川管内1市(旭川市)が対象です。函館市・釧路市・帯広市・北見市などは対象外です。令和8年度の参加登録期間は2026年4月9日〜12月9日で、登録は無料・購入義務なしです。

釧路市の補助金を紹介しているサイトを見ました。本当ですか?

令和7年度(2025年度)までの情報です。釧路市の公式ページには「釧路市ecoライフ促進支援補助金制度の終了について ― 令和7年度をもって終了しました」と明記されており(更新日2026年3月24日)、2026年度は制度そのものがありません。市は代わりに国の「住宅省エネ2026キャンペーン」を案内しています。補助金の情報は前年度のまま更新されていない記事が多いので、必ず市の公式ページでご確認ください。

補助金は契約前に申請しないとダメですか?

北海道はほとんどの市で必要です。旭川市・帯広市・岩見沢市・江別市は着工前申請が必須、函館市は工事着手の2週間以上前、苫小牧市は事業着手予定日の14日前までが条件です。特に苫小牧市は「着手日=契約締結日か工事着工日の早いほう」と定義されているため、契約書にハンコを押した時点で対象外になります。契約の14日前には申請が必要です。札幌市は申込→抽選→設置という流れで、対象機器は2026年2月7日以降に取得したものが条件です。

業者はどこの会社でも選べますか?

市町村によります。北海道は本州より「市内業者の縛り」が多く、北見市は「市内に事業所を有する業者の施工に限る」、旭川市は「市内に本店・支店・営業所等を有する事業者、または北海道の共同購入事業の事業者に限る」、小樽市は市の資格登録業者に限定しています。安い業者を見つけても補助金がもらえないことがあるので、補助額と業者選びの自由度を天秤にかけてください。旭川市のように道の共同購入事業者なら市外でもOKというケースもあります。

まとめ:北海道は「道の補助金」を探さない。市町村の制度と雪国設計がすべて

北海道の太陽光・蓄電池の補助金について、14市町を公式サイトで確認して整理してきました。最後にポイントをまとめます。

この記事のまとめ

・北海道は「国・道・市の3階建て」ではありません。道民が道に直接申請できる制度はなく、実質は「国」と「市町村」の2階建て金額差が大きいのは市町村。苫小牧市なら太陽光+蓄電池で約83万円、隣の千歳市は0円・国の蓄電池DR補助金(最大60万円)は2026年5月29日で終了。再開予定なし。太陽光パネル単体への国の補助はもともとなし・北海道は地域区分1・2なので、新築ZEHは全国最高額の55万円(ZEH+なら90万円)・道の共同購入はエリア限定(函館・釧路・帯広・北見は対象外)。参加登録は2026年12月9日まで・着工前申請・市内業者の縛り・函館市の併用不可が北海道特有の落とし穴・設計面では無落雪屋根・積雪荷重・機器の動作温度が最重要。本州の標準設計は通用しません

日照については、「北海道だからダメ」と決めつける必要はありません。帯広は大阪とほぼ同じ日照時間ですし、低温はパネルにとってプラスに働きます。冬の落ち込みは事実ですが、年間トータルで判断すれば十分に検討できる地域です。

ただし、設計を間違えると北海道は本州より失敗が重いのも事実。雨漏り、架台の破損、落雪事故——どれも雪国特有のリスクです。だからこそ「積雪何cmまで想定していますか」「無落雪屋根への実績は何件ですか」に即答できる業者を選ぶことが、補助金を1円でも多くもらうこと以上に大事だと僕は思います。

あとはお住まいの市町村の制度を確認して、締切に間に合わせること。江別市が6月5日に終わり、北広島市が7月31日に締め切るように、補助金は待ってくれません。国のDR補助金が予定より半年以上早く終わったのも同じです。

まずは無料のシミュレーションと一括見積もりで、あなたの家の「発電量・費用・回収年数」と「使える補助金」を具体的に確かめてみてくださいね。

i近隣の都道府県も見る

補助金は県によって仕組みそのものが違います。近隣県と比べると、北海道の制度の位置づけが分かります。宮城福島新潟地域から探すに21都道府県の一覧があります。

※この記事の金額・条件は2026年7月時点で各自治体・国の公式ページから確認した目安です。補助金は予算や年度によって変わり、先着順で年度途中に終了します。申請前には必ず、お住まいの市町村の公式ページと国の公式サイトで最新情報をご確認ください。

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